コレオグラファーズYダンスコンサート vol.3 参加作品『Polka』
2009年11月20日,11月21日 荒川区ムーブ町屋
<批評>
2007年の暮れに、〔ダンスカフェ〕(代表:安田敬)が、荒川区の文化開発事業と提携して打ったXmasコンサートが、コレオグラファーズ・シリーズの嚆矢である。翌年からはそこへ若手のダンサーによるYコンサートが加わり、さらに今年は単一振付家の創作を旨とするZコンサートが始まる。そのX・Y・Z 2009年版の一番手が今日のこの公演だ。4作品を観終わった印象としては、いずれも正当筋から一歩離れた個性の強い現代舞踊集といったところ。だがその基底に創作の基本にダンス(身体)を忘れないで、新しい空間表現を模索している姿勢がいい。少なくとも単なる道具か装飾としてしかダンサーを捉えない昨今のアマチュア芸では決してなかった。これは当たり前のようで、自称コンテンポラリーの舞台には、うっかり油断すると似非モノが紛れ込んでいるケースが少なくない。さてそのうえで所感を述べると、・・・中略・・・ 「Polka」にみる佐藤小夜子のリズムと笑いの感覚は、日本版チャップリンとでも形容したくなる、この人ならではの楽しいトリとなった。 (日下四郎 舞踊評論家/日下四郎のダンスパーラーより引用) コレオグラファーズYダンスコンサートは第三回目を数える。首都圏のみならず様々な地域から参加者が増えてきた。印象に残った作品をまとめておこう。佐藤小夜子「Polka」は優れた作品だ。赤いチュチュにスーツ姿の女性ダンサーたちに男性が一人混じる。冒頭、大きく動かず明るいタッチと抑制の効いた構成で盛り上げる。スカートに身を包んで丸くなったり、線上に動いたりする。コンテンポラリーダンスに通じる作風である。シーン中にごく短くダンスシーンやラストで女装した男性が男になるといったジェンダーの転換を織り込むだけなのだが、スーツやチュチュといった踊る前からある程度動きのイメージができてしまったり、肉体や動きの持ち味を時には消してしまうこともある難しい衣装を上手に使いこなしながら、上手にまとめてみせた。 (吉田悠樹彦 舞踊批評家/yukihiko yoshida’s dance writing:tokyo dance diaryより引用)