第26回 現代舞踊フェスティバル 参加作品『ほとばしる汗』
2005年8月26日 新国立劇場 中劇場
<批評>
唯一、コミカルで多少の皮肉も感じさせられたのは、名古屋から初参加の佐藤小夜子『ほとばしる汗』。運動会のかけっこ競技に、我先にと人を制しようとする競争社会をあてこする。途中疲れてハァハァ息切れするが、ラデツキー行進曲を聞いて元気を取り戻す。やっぱりがんばるしかないんだ。後味がいい人間賛歌になっていた。 (木村英二 舞踊評論家/音楽舞踊新聞 2005年10月21日号掲載より引用) 競争社会に振り回される現代人を、皮肉にコミカルに描いた。 (うらわまこと 舞踊評論家/週刊オン★ステージ新聞 2005年9月30日号掲載より引用) 中堅の作家達は現代と伝統の間で自身の作家を模索している様だ。モダンダンス的な群舞構成だがコンドルスなどコントに近いコンテンポラリーダンスに近いタッチを見せていたのは佐藤小夜子「ほとばしる汗」である。運動会を題材に取ることで懸命に生きる人々の姿を描いた作品だ。作品はピストルのスタート音で始まる。スーツや日常生活のラフな衣装を着た若い踊り手たちがダンスというよりは日常的な動きを見せることでユーモラスな世界を描く。一列に並んで踊り手たちが動くシーンなどはコンテンポラリーダンスの若手作家に近い作風を感じさせる。軸となっている伝統的な表現を作家がどのように拡張するかが重要だ。 (吉田悠樹彦 舞踊批評家/音楽舞踊新聞 2005年11月11日号掲載より引用)